
聖女アニエスの杯(ロイヤル・ゴールド・カップ)
蓋とカップ本体の外側に4場面ずつ、蓋の内側に1場面、計9場面の聖女アニエス伝が表されている。
フランス王シャルル6世の目録から、1391年ベリー公から王に贈られた品とされている。1430年代にベッドフォード公のもとにあり、公の死後ヘンリー6世の所蔵となり以後イギリス王室に伝わった。ジェームズ1世がスペインのイギリス大使に贈った後、さまざまな経緯を経て19世紀末に大英博物館に戻った。
14世紀末の記録と比べて、変えられた部分、失われた部分がある。台座の首の部分(薔薇の花紋)は15世紀末から16世紀初めに、その上の銘文は17世紀初めに後補され、蓋の中央には真珠飾りがつけられていたらしい。
金地に半透明エマーユが施され、早い時期の赤の使用も見られる。人物像や衣服の細部の表現にシャルル5世治下で「ジャン・ド・シーの聖書」に関わった写本装飾画家との関連が指摘され、制作時期もシャルル5世治下の末期と推定されている。
カップ本体内部にはキリスト像が描かれているが、聖堂用の典礼用具ではなく、1391年の目録に腰高大杯と記されていることから、聖女アニエスの祝日などに使われた祝祭用の大杯と考えられている。
世界美術大全集10 ゴシック2 1370年代
聖女アニエスの杯(ロイヤル・ゴールド・カップ)
1370〜80年頃 金 エマーユ 真珠 高さ23.5cm
ロンドン 大英博物館
フランス王シャルル6世の目録から、1391年ベリー公から王に贈られた品とされている。1430年代にベッドフォード公のもとにあり、公の死後ヘンリー6世の所蔵となり以後イギリス王室に伝わった。ジェームズ1世がスペインのイギリス大使に贈った後、さまざまな経緯を経て19世紀末に大英博物館に戻った。
14世紀末の記録と比べて、変えられた部分、失われた部分がある。台座の首の部分(薔薇の花紋)は15世紀末から16世紀初めに、その上の銘文は17世紀初めに後補され、蓋の中央には真珠飾りがつけられていたらしい。
金地に半透明エマーユが施され、早い時期の赤の使用も見られる。人物像や衣服の細部の表現にシャルル5世治下で「ジャン・ド・シーの聖書」に関わった写本装飾画家との関連が指摘され、制作時期もシャルル5世治下の末期と推定されている。
カップ本体内部にはキリスト像が描かれているが、聖堂用の典礼用具ではなく、1391年の目録に腰高大杯と記されていることから、聖女アニエスの祝日などに使われた祝祭用の大杯と考えられている。
世界美術大全集10 ゴシック2 1370年代
1370〜80年頃 金 エマーユ 真珠 高さ23.5cm
ロンドン 大英博物館
